■ 抄録・要旨
| 水道原水中の臭化物イオンは塩素消毒において臭素系消毒副生成物の濃度増大を招くことが知られているが、塩素系消毒副生成物よりも高毒性なため注意が必要である。そこで本研究では県内の地下水中のBr濃度を把握し、その起源を推定した。その結果、深さ10m以浅の浅層地下水中では、Br濃度の中央値は0.09mg/Lと低く、Br/Cl比も0.92×10-3〜44.63×10-3の幅広い範囲で変動することが判明した。このうち、Br濃度の高い地下水は工業等の人為的原因によるものと考えられ、Br/Cl比が海水より低い地下水はCl-、NO3-、SO42-、DOC等が高く、Br濃度が低いため、生活排水の影響が疑われた。一方、深さ30m以上の深層地下水ではBr濃度の中央値が0.140mg/L、Br/Cl比は4.63×10-3〜15.49×10-3であった。これらの値はすべて海水のBr/Cl 比よりも高いことから、地質由来のBr-が地下水中に溶出したものと推定された。
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